暗号資産市場では、価格が下落すると「クジラ(大口投資家)が仕込んでいる」という見方が頻繁に語られます。しかし、オンチェーン分析企業のクリプトクアントが公開した最新の週間レポートは、その通説に冷静な疑問を投げかけています。
同社の分析によると、少なくともビットコインに関しては、クジラが積極的に買い増している状況ではないとされています。本記事では、その根拠となるデータと、誤解が生まれやすいポイントを整理します。
大口投資家の保有量は「増加」ではなく減少トレンド
まず注目すべきは、クジラと呼ばれるアドレスの保有量推移です。
取引所アドレスを除外したうえで、1,000BTC〜10,000BTCを保有するアドレス群の動きを見ると、状況は明確です。
- 2024年3月:年間変動が +409,000BTC と今回サイクルのピーク
- 現在:前年同月比で −220,000BTC
これは、2023年初頭以降で最大規模の保有量減少に該当します。過去を振り返ると、2021年から2022年にかけての弱気相場でも、同様の動きが観測されていました。
つまり、「下落=クジラの押し目買い」という単純な構図は、オンチェーンデータ上では確認できないというのが、クリプトクアントの立場です。
“クジラ増加”に見える理由は取引所ウォレットの錯覚
一部では「クジラが再び蓄積している」とする分析もありますが、クリプトクアントはこれを誤認の可能性が高いと指摘しています。
原因は、取引所内部で行われるウォレット間送金です。
特にコインベースでは、内部管理上の理由から大規模なアドレス移動が発生することがあり、これがクジラ指標を歪めてしまうケースがあります。
- 取引所・マイニングプールのアドレスを含める
→ クジラ保有量が「増えているように見える」 - それらを除外する
→ 実需としての蓄積は確認できない
投資家の実際の行動を読むには、取引所アドレスを除いた分析が不可欠である点が強調されています。
長期保有者の売却も「過剰に見えている」可能性
次に、長期保有者(LTH:Long Term Holder)の動きについてです。
2025年後半には、長期保有者による大量売却が話題になりましたが、ここにも注意点があります。
- 2025年11月:30日間の資金移動量が 155万BTC
- そのうち 約65万BTC以上 は売却ではなく取引所内部の送金
取引所を除外して再計算すると、同月の実質的な資金移動は約90万BTC。
確かに高水準ではあるものの、「前例のない投げ売り」と呼べる規模ではない、という評価です。
ETF・トレジャリー企業の需要も減速局面へ
さらに見逃せないのが、ETFやビットコイン・トレジャリー企業の動向です。
1,000BTC〜10万BTCを保有するアドレス(これらを含む)の年間成長率は、2024年1月以来初めてトレンドを下回りました。
- 2024年初頭から 約31%の成長減速
- 保有量は現在、横ばい〜減少傾向
これまで今サイクルの需要拡大を牽引してきた主体だけに、機関投資家の慎重姿勢が市場全体に影響している可能性が示唆されます。
リフィックスソリューションズの独自見解
今回のレポートが示している本質は、「誰が買っているのか」を正しく見極める重要性です。
仮想通貨市場では、オンチェーンデータの一部だけを切り取った解釈が、過度な楽観や悲観を生みがちです。
リフィックスソリューションズでは、
- 取引所アドレスを除外した実需分析
- 保有主体ごとの行動分解
- 過去サイクルとの冷静な比較
これらを重視することで、市場を一方向から断定しない姿勢が重要だと考えています。
価格動向に一喜一憂するのではなく、「どの需要が鈍り、どの動きが誤認なのか」を見抜くことが、暗号資産との健全な向き合い方につながります。














































































